サッカーを楽しむためにフォーメーションを知ることはとても大切です。
そして、フォーメーションはサッカーにおいて重要な情報を僕たちに与えてくれます。
特に現代サッカーにおいては試合をより細かく、より詳しく戦術分析するのが主流となっており、フォーメーションの重要性が日に日に増しています。
この記事では、まずはフォーメーションの重要性から、その見方や基本的なフォーメーションの種類を解説しています。
フォーメーションを調べるのは難しい
サッカーは流れのスポーツ
フォーメーションの把握はそこまで簡単なものではありません。
サッカーは流れのスポーツですから、刻一刻と状況は変化していきます。
全員がしばらく止まってくれていたら、フォーメーションとか配置の確認は簡単にできますが、なかなか実際の試合ではそういうわけにはいきません。
そのため、慣れない人にはフォーメーションの見方にかなり苦労する傾向にあるようです。
実際に僕もサイトを立ち上げた段階では各試合のフォーメーションを把握するのにかなり苦労した思い出があります。
ただ、それでも数をこなしていけばイヤでも慣れていきましたけどね。
調べることもできるけど
サカレビもそうですが、フォーメーションを公開しているサイトはたくさんあります。
だから、自分でわざわざ試合の中から直接調べなくても「フォーメーションを知ること」は可能です。
しかし、それでも自分で試合の中からフォーメーションを把握することができる力が欲しいと考えている方のためにこの記事を書きました。
なぜフォーメーションが重要なのか?
フォーメーションがベースとなる
サッカーを実際にプレイする場合でも試合を観戦する場合でも、フォーメーションを把握しておくことはとても重要です。
なぜならフォーメーション(システム)はチーム戦術のベースとなるからです。
ボールが絶えず動き続けるサッカーという競技は、その時々において最適なポジショニング(どの場所にいるべきか?)が求められます。
ピッチは広大ですから、特に決まりごとが無い場合に選手たちはどのエリアにいればいいのか判断に迷ってしまいます。
そして、その判断の手助けをしてくれるのがチームの戦術であり、そのベースとなるフォーメーションになってくるわけですね。
狙いが見えてくる
そのため、フォーメーションを知るということは”そのチームがどういう狙いで戦おうとしているのか?”ということを、外から見ている僕たちにもある程度教えてくれることにもなります。
まあ、フォーメーションを知っただけですべてが分かるわけではありませんし、実際にどういう戦術を取っているのかは試合の流れや選手の動きを見る必要がありますけどね。
それでも、チーム戦術や監督・選手たちの狙い(戦略)を知るうえで一番重要な手掛かりになるのは間違いありません。
ですから、フォーメーションとサッカー戦術というのは深~いつながりがあるわけです。
そして、フォーメーションを理解するためにもフォーメーションの見方(数え方)や基本的なシステム(フォーメーション)の種類を把握しておく必要があります。
フォーメーションの基本的な見方
決まったルールは存在しない
フォーメーションの見方や数え方に明確な定義はありません。
(一応、調べましたがはっきりとしていないようです)
昔から、GKを除いたDF・MF・FWの3ラインを使った4‐4‐2という表記がずっと使われてきています。
最近はそれに加えて、中盤の攻撃的・守備的を分けるように4‐2‐3‐1みたいな4ラインで表記する場合も多くなっています。
この変化はフォーメーションを”より細かく”分類するようになって起こっています。
昔は4‐2‐3‐1を4‐5‐1という表記にしていましたが、最近はもっと違いが分かるように4ラインにしたっていうイメージになりますね。
そして、縦は4ラインですが、横は5ラインに分割して見ます。
両サイド・ハーフスペース(サイドとセンターの間)・センターですね。
この分割したエリアに試合をしている選手たちがどこにいるのか?を写していったのが、フォーメーションというものになるわけです。
全体を観る
実際は選手たちが絶えずピッチ内を走り回っているので1人・1人の選手の動きを追いかけていては、フォーメーションを把握することはとても難しいです。
コツとしてはどちらかのチームを絞って全体をボヤっと観ることですね。
そして、前(FW)と後ろ(DFライン)から数えていくことです。
中盤は選手がごちゃごちゃ密集してますから、まずは簡単な前と後ろをきっちり把握しましょう。
そうすると、中盤は消去法でどういう並びになっているのかかなりわかりやすくなります。
例えば、前に2枚、後ろに4枚並んでいたとすれば、中盤には4枚居なきゃいけませんから、そこから前後バランス(高さ)を見ながら全体のフォーメーションをイメージしていく感じですね。
なかなか慣れないと難しいですが、こればっかりは数をこなさないと仕方ありません。
まあ、試合映像を静止できるのであれば、まずはそこから並びを数えてみるのが一番簡単なんですけどね。
ちなみに僕はここから各ポジションに選手たちを当てはめていきます。
意外と重要な背番号
この時に重要になるのが”背番号”です。
(知ってる選手はシルエットでわかりますよ)
そして、背番号はユニフォームによってかなり見にくい奴があったりします。
そんなわけで、アジアの意味不明な国と日本が戦った時には結構苦労しますね。
選手のことはよくわからないし、あげくに背番号が日光に反射して全く見えないときにはマジで泣きそうになりますw
攻撃時(ビルドアップ)?守備時(ブロック)?
フォーメーションを見る基準
フォーメーションを決める(外側から見る)うえでとても重要なのが、ボールを持っている時(攻撃時)・持っていない時(守備時)、どちらを基準にするのか?ということですね。
最近では攻撃の時と守備の時の並び方が全然違うチームも多いですし、僕らの日本代表もビルドアップの時とブロックを組んだ時の並び方は全くもって違います。
これは僕自身も昔から疑問に思っていたのですが、どうやら”明確に定められているものではなかった”ようでした。
ただ、それでもやはりどちらかを基準にフォーメーションを決める必要があります。
ここからは僕が腐るほどフォーメーションをまとめ続けてきた経験からこの判断について解説していきます。
守備ブロックを基準に
とりあえず、結論から言いますと、基本的に守備側の陣形で問題ありません。
攻撃の陣形は相手の守り方によってかなり変わってきますし、チームによってはかなりアンバランスなものになってしまいます。
例えば、マンチェスター・シティは4‐3‐3をよく使うことが多いんですが、彼らの攻撃の時の陣形は2-3-3-2という形になることが多いです。
「2バックってなんか違和感があるな」って感じますよね?
だから、ビルドアップ時の陣形をフォーメーション表記することはほとんどありません。
柔軟に考える
じゃあ、日本代表も4‐4‐2(4-4-1-1)の表記にした方がいいんじゃないの?って思いついた方はかなりのサッカー通だと思いますが、実際に僕が森保JAPANの最初の試合を観たときにフォーメーションの表記をどうしようか?悩んだことがあります。
最終的に4‐2‐3‐1を選択することになったんですが、その理由は堂安と中島ですね。
4-4-1-1表記にすると彼らを”守備的な中盤の選手”とみなさなきゃいけない、そして南野がトップの選手だとして4-4-2と認識するのもかなり違和感がある。
っていう風になると、やっぱり一番しっくりくるのは4‐2‐3‐1ってことになりますね。
中島・南野・堂安、彼らが同じ高さにいるような表記にした方がいいなって結論になったわけです。
こんな感じで基本的に守備時の陣形を参考にしながら、しっくりこない部分は微調整するのがおススメです。
というか、これが一番自然なフォーメーションになりますしね。
厄介なサイドの選手
あんた誰?って選手の場合
堂安や中島はもともと知っている選手だから良かったんですが、まったく知らない選手がいるときの判断はかなり難しくなってきます。
それでもピッチ中央(センターやハーフスペース)の選手たちは基本的に階層状に4ラインに分かれることが多く、どの高さの選手なのか?ということの判断を間違うことはあまりありません。
しかし、サイドの選手に限ってはそういうわけにもいきません。
彼らの前後には味方選手やまたは相手選手すらいない状況というのはサッカーの試合ではよくあることになります。
そもそもその選手(サイドの選手)はDFなのか?ミッドフィルダーなのか?それともFWなのか?、、、これらを判断するのも意外と難しかったりします。
この問題を、わかりやすい例で言うと「3バックと5バック表記の境界線って何なの?」ってことですかね。
どちらの場合もサイドの選手はWBっていうポジションで変わりはないんですが、フォーメーションで表記した時に若干の違いが出てきます。
印象を大事にする
これはまたややこしいな!って話なんですが、これに関しては”試合の印象”を大事にしてください。
要するに5バック表記のチームは試合を通してDFが5人並んでいる状況が多い(そういう印象が強い)ってことになりますね。
*だったら、WBじゃなくてSBの表記にしろよって思いますけど、WBはSBよりも外側(サイド側)のDFって意味合いですから(たぶんw)
これまでいろいろと書いてきましたが、結局フォーメーションの見方は印象の部分が強く作用します。
ムバッペとネイマールがサイドのエリアにポジショニングしていたとしても、彼らがSH(サイドハーフ)と認識することはほとんどありませんよね?
だってもともとそんな印象ありませんから。
つまりは
WGの選手は基本的にボールロストしても前線に攻め残るか・ハイプレスを仕掛けます。
SHは前線にも自陣の深い位置にも顔を出します。
攻撃も守備もバランスよくやるポジションです。
SBは攻撃参加もしますが、基本的には守備をする時間の方が長いです。
WBの高さはその時の状況によって若干変わってくるって感じでしょうかね。
こんな感じでフォーメーションから逆に情報を読み取ることも可能です。
とりあえずここまで理解することができたら、後は実践あるのみです。
基本的なシステムを覚えておく
慣れるまでは
サッカーの試合を観てフォーメーションを実際に確認する作業をやるときに、基本的なシステムを覚えておくことでその作業がかなりスムーズにいくようになります。
とりあえず、メジャーなものから当てはめていく、、、っていうのも一つの方法ですから、基本的なシステムを置くことはとても重要ですね。
というわけで、基本的なシステム(フォーメーション)をまとめています。
4‐4‐2
一番オーソドックスなフォーメーションと言われています。
全体的に守備のバランスが良く、ゾーンディフェンスでも基本的な範囲をすべてカバーできるシステムになっています。
ただ、その分対戦相手にとっては分析しやすいフォーメーションですから、それがデメリットになる場合もありますね。
4-3-3
基本的に攻撃的なチームが採用するフォーメーションです。
前線の3枚は積極的にプレッシングすることから相手のビルドアップを妨害したり、高い位置でボールを奪ってショートカウンターを狙うことも可能になっています。
ただ、その反面中盤の枚数が少なくなっており、そこのスペースを狙われることが多くなってしまいますね。
4‐2‐3‐1
攻撃にも守備にも非常に柔軟なフォーメーションです。
守備の時には4-5-1や4-4-2に構えたりするのが一般的で、同じシステムでも対戦相手によってプレスのかけ方を変えることができますね。
個人的にデメリットが少ないフォーメーションだと思ってますが、SHの選手が機能しないと攻撃にならないことが多いです。
3-4-3
4-3-3にならぶ超攻撃的なフォーメーションですね。
4-3-3よりもサイドで数的優位を作りやすい特徴がありますし、プレッシングもサイドでハメやすいのメリットになります。
とはいえ、4-3-3以上に中盤の枚数が少なくなってしまいやすい傾向がありますから、カウンターの局面なんかではピンチを迎えることが多くなっています。
攻撃にメリットがある分、ホントに守備対応が難しいフォーメーションって感じです。
3-5-2
3バックの中では一番バランスがいいフォーメーションです。
僕が小中学生の頃はこのフォーメーションをよく使っていました。
状況によっては5バックを作ってゴール前を固めることができますし、基本的に中盤の厚みがあるので失点しにくいのが特徴でしょう。
ただ、サイドの枚数は少なくなってますので、SHの仕事量が多いですね。
5-4-1
超守備的なフォーメーションになっています。
得点を奪うよりもゴール前を固めることを優先しています。
数あるフォーメーションの中では一番失点しにくいのが特徴的ですね。
ただ、その反面カウンターの局面では攻撃に人数をかけることが難しくなっています。
まあ、「セットプレーから上手いこと入ればいいかな」って戦法です。
4-5-1
守備的なフォーメーションですが、5-4-1よりは攻撃を頑張れるフォーメーションです。
または中盤のスペースを消して、相手に攻撃の起点を作らせないことが狙いの場合もあります。
中盤の枚数が5枚なので、5-4-1よりはカウンターの局面で攻撃に人数をかけやすいです。
まあ、いざとなったら4-4-2にすぐ変更できますし、4-2-3-1と同様に使いやすいフォーメーションですかね。
あとは応用
大体こんな感じです。
これ以外にもフォーメーションの種類はたくさんありますが、基本的な形さえ覚えておけば後は応用するだけです。
まとめ
そんなわけでフォーメーションの見方について説明してきましたが、今回の記事の内容をまとめますと。
- フォーメーションはチーム戦術のベースとなるもの
- 縦の4ラインと横の5ラインでピッチを分割して考える
- ピッチ全体を見ながら前(FW)と後(DF)から数えていくこと
- フォーメーションを決めるルールはなく、試合の印象を大事にしよう
- 基本的なシステムを覚えるとフォーメーションを見るのがラク
今回の記事はここまでです。
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