サッカーの攻撃パターンは多種多様です。
チームのカラー(伝統)や監督の哲学、選手のポテンシャルなどによっても攻撃のやり方や攻撃パターンは変わってきます。
それでもサッカーの攻撃には基本的な”原理原則”が存在します。
原理原則と言っても特別難しいものではありませんが、これまで意識してこなかったっていう人が結構多いのではないかと感じています。
そしてサッカーの攻撃には優先順位が存在します。
これは選手個人の動きでもあてはまりますし、チームの動きとしてももちろんあてはまるものになります。
今回の記事では攻撃の原理やパターン分け、攻撃の優先順位を中心に解説しています。
(細かい技術やチームの特徴などはとりあえず置いといて、大雑把な攻撃の話になりますね)
攻撃の原理原則
得点の難しさ
サッカーはほかのスポーツに比べて得点する(ゴールを奪う)ことがとても難しいです。
横幅7.32m×高さ2.44mとゴールマウスは大きいものですが、その前には常にセービングを狙っているゴールキーパーや「シュートを打たせまい」と妨害してくる屈強なCBが構えています。
当然のことながらゴールマウスにボールを入れるためには、この厄介なCBとGK(というより相手DF陣)の裏をかく必要があるわけです。
そのうえでこちら側が”相手陣内に用意”しなければならないのは
- ボール
- スペース
- フリーマン
となります。
ゴールを奪ううえで必要なもの
サッカーの攻撃パターンにはいろんなものが存在しますが、基本的にこれらの要素をいかにして作り出すか?ということが、どの攻撃パターンにもコンセプトとしてあるわけです。
ポゼッションであろうが、カウンターであろうが、ボール・スペース・フリーマンがないと相手ゴールを奪うことはとても困難な作業となります。
もちろん、バルセロナのメッシみたいにサイドから中央へドリブルしながらカットインしてそのままシュート、、、みたいなゴールの奪い方も存在しますが、なかなかあのレベルのプレーを全員に期待するのはムリな話です。
それにあのメッシですらドリブルをするためのスペースが無ければ相手にボールを奪われてしまいますし、周りにフリーの味方選手がいることでメッシがゴールを奪う確率が格段に上がることになりますからね。
(メッシはパスを選択することもできますから)
何を優先するのか?
まずはボールを持つ
サッカーで攻撃を行うためには”まずボールを保持”することが必要です。
そして、ボールを保持しようと思えば相手からボールを奪う必要が出てきますね。
攻撃の原則の中にボールという項目を入れていますが、それは”自分達が攻撃を行うために相手からボールを奪う”ことを指しています。
そのため、攻撃をするにあたって一番最初にやらなきゃいけないのがどうやって相手からボールを奪うのか?を考えることになりますね。
(ボールの奪い方についてはここでは触れません)
スペースとフリーマン
攻撃の優先順位1番が”ボールを奪うこと”になりますが、その次にやらなきゃいけないのがスペースとフリーマンを作る(見つける)作業になります。
そして、これらはほとんど同時進行でやっていきます。
ここでいうスペースというのは「敵陣の中に空いているスペースを狙う動きや自ら動いて味方にスペースを与える動き」を指しています。
フリーマンはその言葉通りで、自由にボールを触れるフリーな選手のことを指しています。
(フリーの選手を作って自分達が数的優位になるような動きのことでもありますね)
味方からのパスを引き出す動きが”スペースを作る”ことや”数的優位を作る”動きになってしまうことはよくありますので、これら2つ項目はほとんど同時にやることが多いですね。
スペースの解釈
サッカーにおけるスペースという言葉は結構あいまいな表現です。
どれぐらいの大きさ(広さ)のことを指しているのかは人それぞれで解釈が違ってきます。
重要なのは相手のプレッシャーに影響されずに「シュートが打てる・ドリブルでボールを運べる・パスを出せる」ことができるエリアの大きさだ、、、ということです。
そのため、スペースというものは選手のスキル(技術)によっても変わってきます。
例えば、僕とメッシの必要とするスペースは全然違います。
明らかにメッシの方が必要なスペースは小さく(狭く)なります。
このスペースの大きさはサッカー戦術でカバーすることはできません。
どうやってスペースを作るのか?はチーム戦術として工夫することはできますけど、選手個人のスキルや技術に頼ってしまうことが大きい部分となりますね。
フリーマンとは
そして、フリーマンも攻撃するためには重要な要素です。
フリーな選手とは”相手にマークされていない選手”のことを指しています。
マークしない守り方(ゾーンディフェンス)を相手がやっている場合もありますが、マンマークの場合は攻撃陣にガッツリマークがついていることがほとんどです。
基本的に攻撃陣からアクションを起こさない限り、相手がマークを解いていくることはほぼありません。
(流れの中や相手のミスで勝手にフリーになることもありますが)
そのうえで攻撃側が考えなければならないのが、どうやって相手のマークを振り切るのか?ということです。
これには単純なスプリントの速さ(走るスピード)やタイミング(相手の意表を突く)が重要になってきます。
ボックス(ペナルティエリア)に近い場所だったり、相手陣内の中央でボールを受けようとすれば、より厳しいマークを受けることになりますから、そこでフリーになることはホントに大変なことです。
選手の技術に左右される
結局、必要なスペースの大きさと同じで、この”フリーになる動作”も選手の技術が大切になります。
普段の練習や戦術の共有などである程度までの動きを習得することはできると思いますが、そこからどれだけレベルアップできるかは選手の技術にも左右されます。
サッカーの勝敗は選手の力が7割、監督の力が3割と言われますが、まさにその通りだと思いますね。
ちなみにスペースを作る動きとフリーになる動きは同時進行でできますと上では書きました。
これは自分がフリーになるために別のエリアへ動き出すことによって、もともと自分がいたエリアにスペースが生まれるということを意味しています。
(もちろん、相手が自分をマークするために、その動きについてきていたら、、、という場合です)
そして、ここで注意すべきなのは味方選手と自分の活動エリアがかぶらないようにすることです。
もともと味方選手がいるところにわざわざ突っ込んでいく人はいないと思いますが、「2人同時に同じスペースを伺う」動きが起こってしまうと、ポジションがかぶってしまうことが結構あります。
なかなか、ボールや相手選手の動きは拾うことができても、別のエリアから走ってくる味方選手の動きまで読み取ることは難しいものです。
仮にサイドからのクロスにヘディングで合わせるのに、2人ともファーサイドを狙ってしまってはあまり意味がありませんからね。
わざわざ自分達で得点チャンスを潰してしまうことになりかねませんから、この部分はホントに注意したいところです。
チームの連動
こういった事態に陥らないためには、”チームとして連動する”必要があります。
認識の共有やチーム内の意思疎通、チーム戦術など呼び方はいろいろあると思いますが、いずれにせよチーム作りとしては避けて通れないところになりますね。
よくチームの完成度などと表現されることがありますが、それが意味しているところはまさにこの部分です。
完成度が高いチームはホントに無駄な動きがありませんからね。
攻撃のパターン分け
大きく分ける
攻撃のパターンはチームによってさまざまなものが存在しますし、一つ一つを分析するのはとても時間がかかってしまう作業なのですが、大雑把に攻撃のパターンを分類することは比較的に簡単です。
ここではどのチームがどの攻撃パターンなのか?ということについて触れるわけではありませんが、もし自分が応援しているチームの攻撃パターンが知りたい場合は以下の項目に注目してください。
- ボールを持った時・・・ショートパスが多いか、ロングボールが多いか
- パスを狙うのは・・・サイドが多いのか、中央が多いのか
- 守っている時・・・前からボールをとりに行っているのか(ハイプレス)、自陣に引いて守っているのか(リトリート)
ホントに大雑把な分け方なんですが、これを意識的にチェックすることで各チームの比較をすることも簡単になってきます。
具体的には
例えば、マンチェスター・シティなんかは「1.ショートパスが多い」「2.サイドが多い」「3.ハイプレス」って感じになりますね。
トッテナムは「1.ショートパスが多い」「2.中央が多い」「3.ハイプレス」ってイメージです。
ショートパスやロングパス、どちらもよく使っている印象があったのなら、その中間(バランス型)っていう認識でも大丈夫です。
大事なのはチーム同士の違いを知ることなので、細かい部分までサッカーを分析できないという方はこういうところからパターン分けしてくのがおススメです。
そこから試合数をこなしていけば、もっと深い部分まで見えてくるようになります。
まずは簡単なことから情報(サッカーの試合)を処理すること。
それでサッカー観戦がもっと面白くなりますよ。
⇒攻撃と守備を含めた戦術のパターン分けに興味がある方は
⇒守備戦術に興味がある方は
⇒具体的な攻撃の話