少し試合から時間は経ってしまいましたが、ブラジルとドイツの試合っていうのは衝撃的でした。
グループリーグの展望でもこの2チームだけは3戦全勝すると僕は予想してたからです。
ブラジルはスイスと引き分け、ドイツはメキシコに敗れるという結果。

ジャイアントキリングや番狂わせはサッカーにおいてよく起こります。
特にW杯の舞台ではその結果が順当に行くことはほとんどありません。

とはいえ、、、です。
まさかこの2チームが!っていうのが、正直な感想です。

メキシコやスイスのサッカーっていうのは日本サッカー発展のヒントになるかもしれません。
それに世の中の注目も高いと思いますので、今回はこの件について書いていきます。

ドイツの悲劇

メキシコはW杯の初戦でドイツと激突することが決まってから、この試合に対してかなりの準備をしてきています。
相手がパワープレイに出てくることを想定していた選手交代、高い位置を取ってくるキミッヒの裏を的確につくために快速の選手をサイドに配置していたことなどなど、、、試合後の監督のコメントでも紹介されていました。

まあ、僕としてもこの辺はコメントを聞いて理解したわけですし、相当な準備をかなり綿密にやってきたんだな~って驚いてました。
相手がマリオ・ゴメスを入れてくる前にメキシコはデカい選手を投入してましたし、決勝点のロサノっていうのは快速の選手だったわけなんで。

それで決勝点のシーンに関しては明らかにフンメルスの判断ミスがありました。
守備のセオリーから考えると間違いなくミスだと言えるプレーです。
(ハイライト見れる方はエルナンデスのポストプレーでフンメルスが入れ替わったシーンを見てください)
これによって、後方にいるのはボアテング一人となりました。

その後、グアルダードとのワンツーで抜け出したエルナンデスはボアテングと1対1。
そこから大外を上がってきたロサノに展開。
高い位置にいたキミッヒはもちろんプレスバックが間に合わず。
結局、ロサノに寄せたのはエジルでした。
(ここはメキシコの戦術的な狙い通り)

メキシコがずっと準備してきたこととドイツ側のミスによって生まれてしまったゴールでしたが、試合を決める重要なシーンになったのは間違いありません。

メキシコのブロック

試合を観ながらずっと気になってたのはメキシコのブロックです。
リトリートした状態でやってた守備が、かなり印象的でした。


これはドイツのビルドアップシーンです。
右サイドにボールが流れたところなんですが、ドイツの右SBであるキミッヒに対してメキシコDF陣はまったく反応していません。

パスコースも消してなければマンマークもしていない、完全なシカト状態です。
(もちろん、キミッヒにボールが展開されればアプローチはしますけど)
で、面白いのがサイドに流れるのが別の選手(例えばミュラーとか)だったら、きっちり潰しに行くんです。

これ何がやりたかったかっていうと、まずは中央のスペースをかなり圧縮することです。
縦パスも当然制限しますし、斜めのボールもかなり入れづらい形になります。
基本的なブロックは4-4-2の形を取ってましたが、サイドへのパスコースを制限するような動きはあまりありませんでした。

キミッヒに対して素直に反応すれば、中央の守備は手薄になりがちです。
でも、それ以外の選手がサイドに流れてきた場合にはドイツの選手も中央が手薄になるので、そもそも対処がしやすくなります。
だから、この動きに関してはあらかじめ潰しに行っても問題なかったわけなんです。

次はキミッヒに常に高い位置を取ってほしかったことです。
普通はキミッヒが高い位置を取ってボールが自陣深くに展開されてしまうことを避けようとしますけど、メキシコは逆にそれを利用してたわけです。
上にも書きましたが、カウンターの時にロサノが狙えるスペースを確保したかったイメージです。

パスコースやスペースが空いてたらキミッヒは間違いなく高い位置を取ってきます。
逆にそこを制限してしまうと彼は後ろに下がってボールを受けようとします。
そうなるとカウンターでそこの裏を狙うのが難しくなってしまいます。

とはいえ、リスクももちろんありました。
高い位置にいるキミッヒがシンプルにヴェルナーを狙うボールです。
実際、序盤はこの連係から危ないシーンも作られてましたし、メキシコとしてはそれで失点してたらその後のプランは大きく変わってたはずです。

結局、そこで失点せずに耐え抜いたこと(中央を固めて守り切る自信があったとは思ってます)と、決めるべきところをしっかり決めたことが大きかったと思ってます。
それに個々人のクオリティの高さや組織力の強さ、際の守備とかトランジションなんかも高いレベルで維持されてました。

ブラジルのつまづき

ブラジルはコウチーニョが先制した時点できっちり勝つのかと思いきや、その後追加点を奪えず同点に追いつかれての引き分けです。

立ち上がりこそ、少しプレスをかけるような動きを取ってましたけど、先制してからは”相手を引き付けるように”リトリートして守ってました。
まあ、高速カウンターが武器のブラジルですし、その戦い方はかなり理にかなってますし、試合運びとしては正しかったと思います。

ただ、思ってたよりブラジルの選手たちのパフォーマンスが悪かったこと、後はネイマールを抑えられてしまったことでブラジルのカウンターが鳴りを潜める展開となりました。
特にスイスのベーラミはカウンター対応において非常に良いパフォーマンスを披露してたと言えます。

1点ビハインドの状況ではスイスがボールを持つ時間が長くなりました。
それにビルドアップでは両SBが高い位置をとることから、カウンターの時にはその裏を狙われやすい状況です。
その状況でも少し引いた位置で構えてたジャカやベーラミっていうのが、ブラジルにボールを奪われた場合に即座に対応できるようなポジショニングを意識してました。

全体的にボックス(ペナルティエリア)内やその近くでプレーする時間が長かったのはブラジルです。
それを跳ね返すためにボックスの中をスイスの選手で固めたとしても、相手の個人技(ミドルシュートなど)で失点することもあるわけです。

スイスは基本的に守備時4-4-2でしたが、リトリートしてボックスの中を固めてたのは7人の選手だけでした。
残りの3人は実はカウンターを狙うために少し高い位置に残ってたわけです。
その状況で先手を取れればブラジルの出鼻を挫くことができますし、最悪失点したとしても引き分けで逃げ切ることができます。

でも、実際はコウチーニョのスーパーミドルがあって、スイスとしては理想的な試合展開にならなかったんです。
ただそれでも、自分達が押さえておくべきところがブレなかったのであの同点ゴールが生まれたと僕は考えています。
日本との試合を観たときには正直”負けるだろう”と感じてましたが、スイスの勝負強さっていうものには驚きました。

優勝候補がゆえに

ドイツやブラジルが難しいのは”優勝候補である”ことです。

メキシコやスイスは対戦が決まった時点からこの試合に照準を合わせて調整してきてます。
でも、ドイツやブラジルは決勝トーナメントに照準を合わせて調整する必要がありました。
ドイツの方はそうでもありませんでしたが、ブラジルは明らかにコンディションが上がってない印象を受けてます。

それに強豪国であるがゆえに戦術の研究はよくされますし、対策をたてるのに十分な情報はすぐに入ってきます。
強豪が強豪として在り続けることや、大事な大会で結果を出し続けるのは実は非常に難しいです。
だからこそ、いつの時代でもW杯の優勝候補に挙げられるこの2チームっていうのはホントにすごいチームなんです。

おごりや油断なんかはなかったと思ってます。
それでも、そんな相手にメキシコやスイスは結果を示したわけです。
日本代表がそのレベルに到達するにはまだまだ遠いんですが、「やれないことはない」っていうのをみんな認識できたと思ってます。

今後もこういった試合が増えて、W杯が盛り上がることを期待しています。